大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和47(オ)257 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人伊藤敬壽の上告理由第一点について。

本件記録によれば、原審第一一回口頭弁論調書には、裁判長が判決原本に基づき

判決言渡をした旨の記載があるが、右調書の裁判官の氏名欄には、裁判長裁判官浅

賀栄、裁判官田中良二両名の記載があるにすぎない。ところで、民訴法一四七条本

文の規定によれば、口頭弁論の方式に関する規定の遵守は調書によつてのみ証明す

ることができるのであるから、右調書の記載によれば、原判決の言渡は、三人の裁

判官による合議体によつてされなかつたことになる。したがつて、原審の判決の手

続は、裁判所法一八条の規定に違背するものといわざるをえない。

もつとも、本件記録に編綴してある昭和四七年三月八日作成の更正調書には、「

第一一回口頭弁論調書中、裁判官の表示に脱漏があるので、次のとおり更正する。

裁判官田中良二とある記載の次に裁判官川添万夫の氏名を併記する。」旨の記載が

あるが、上告代理人が原審の判決手続の前記の違法を指摘した上告理由書を提出し

たのは、同年二月二三日であることは記録上明らかであり、原審における口頭弁論

の方式に関する手続の違法が既に上告理由として指摘された後においては、当該手

続に上告理由が指摘するような違法がない旨を記載する調書には民訴法一四七条本

文所定の効力を認めえないことは、当裁判所の判例とするところであるから(昭和

三九年(オ)第九二四号昭和四二年五月二三日第三小法廷判決・民集二一巻四号九

一六頁参照)、前記の更正調書によつては、原判決が三人の裁判官による合議体に

よつて言い渡されたことを証明することはできないものといわなければならない。�

原審の判決の手続には前記の法律違背があるので、論旨は理由があり、他の上告

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理由の当否につき判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。

よつて、民訴法三九六条、三八七条、四〇七条一項の規定に従い、裁判官全員の

一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 田 武 三

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

裁判官 岸 盛 一

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